Q1-3:刑事手続とは?
A:
刑事手続と並ぶものに民事手続と行政手続があります。
たとえば,交通事故を起こして被害者の生命や身体を侵害してしまったケースで考えます。
加害者としては,被害者やその遺族に対して,損害賠償を行う義務を負っています。果たして損害賠償義務が発生しているのか否か,発生しているとして金銭的に評価するといくらになるのか等を定める手続が「民事手続」であり,そのうち訴訟に発展した場合が「民事訴訟手続」です。
また,交通事故が発生する場合,運転を行った者に前方不注意や速度違反等の道路交通法違反があるのが通常です。そこで,行政機関はこの者に対して運転免許停止等の処分を行うことができます。このような処分を行う手続は「行政手続」と呼ばれます。これらの処分によって加害者は不利益を受けますが,一般的には懲役等の刑罰ほど社会的に重い非難ではないと考えられています。
さらに,不注意等によって交通事故を起こした場合,業務上過失致死や業務上過失致傷等の犯罪行為が成立する場合があります。この場合,検察官が加害者を起訴し,裁判所が懲役・禁固や罰金などの刑罰を科すことがあります。このような手続を「刑事手続」と呼んでいます。
以上のように,それぞれの手続によって発生する責任の種類や重さには差異があり,全体として役割分担をしながら社会秩序が形成されています。