痴漢冤罪が起こる

混み合った電車内などで痴漢の被害に遭うというケースは後を絶ちません。
痴漢は各都道府県の定める迷惑防止条例等の違反になりますし,刑法上の強制わいせつ罪にも該当し得る卑劣な犯罪であり,人々が通勤・通学に際して不快な思いをしなくても済むよう厳重に取り締まる必要があります。

しかし,すし詰めの電車内では乗客は自由に身動きが取れず,痴漢をされていることが確実ではあっても誰がそのような行為に及んでいるのか被害者が正確に確認できないことも少なくありません。

この結果,付近にいる無実の人が嫌疑を掛けられてしまうということがあり得ます

痴漢事件の冤罪はなぜ起こるか

かつては女性が電車内での痴漢被害を訴えても、被害者の供述のほかに有力な証拠がないため,十分な捜査が行われないということが少なからずありました。

しかし,混雑した電車内の盲点を突いて行われるのが痴漢犯罪の特徴ですから,「被害者の供述以外に証拠がないから立件できない」としたのでは痴漢犯罪の多くを見逃すことになり,卑劣な犯罪を抑止することはできません。

そこで,主な証拠が被害者の供述に止まる場合であっても,その供述内容が自然で合理的であり,周囲の状況等の証拠と矛盾しないならば,供述をもとに有罪を認定できると判断されることが次第に多くなっていきました。

このことは犯罪抑止の観点からは重要な意義があることです。
しかし,そのことの「副作用」として,無実の人が「自分はやっていない」と一生懸命訴えても,その主張がなかなか受け入れられにくいという事態を招くことになりました。

混雑した電車内では第三者から見て死角になっている部分が大きいので,被疑者・被告人に有利な証拠もまた得られにくいというわけです。 「あちらを立てればこちらが立たず」ということです。

嫌疑を掛けられるとどうなるか

たとえばある日男性が電車に乗っていて,突然女性から痴漢と間違われて訴えられたとします。
容疑者とされた男性が「自分は何も知らない」と主張しても,駅員に「ここではなく,別の所で話を聞きましょう」などと言われ事務室に連れて行かれます。

駅員は一応言い分を聞いてくれるでしょうが,やがてそこには警官がやってきます。 警官は,被疑者が否認していても,被害者である女性の供述を根拠にして,男性を現行犯逮捕してしまう。

逮捕されると最大48時間身柄を拘束され,取り調べなどを受けます。
その後,送検され裁判所に対して10日間の勾留請求をされます。
その間で捜査等が完了しなければ,さらに10日間の勾留延長を請求されます。
否認し続けると最大23日間も身柄を拘束される危険があるということになります。

通常の精神状態であれば「やっていないことを自白するはずはない」と思うでしょう。
しかし,普段自分が属している世界から隔絶された状態で気持ちを強く持つことは想像以上に難しいものです。

会社を長期間休めば職を失いかねないという状況にも陥ります。
そのような状態で「やったと認めれば酷い扱いにはしない」などと誘惑を受けると,先のことはともかくとして目の前の状況から解放されたいばかりに,本当はやっていないのに「やりました」と言ってしまうのです。

本当はやっていないので,詳細な犯行状況を自供することはできないのですが,そこは捜査官の方が「こうだったんだろう」と誘導をするので,その通りに従って供述をし,調書に署名捺印をしてしまうことになります。

一度調書に署名してしまうと,後でそれを覆すのは非常に難しくなります。

残念ながら,実際にこのようなことが誰の身にも降りかかってくるかもしれないのです。

痴漢冤罪を防止するために

痴漢で冤罪の被害を受けないためには,満員電車では女性に近づかない,片手でつり革を持ちもう片方の手でカバンや本を持つなど,予め痴漢を疑われなくて済むような状態にしておくことが大事な原則です。

しかし,それでもいわれのない痴漢の嫌疑を受ける可能性はゼロではありません。 その場合,自己防衛として次のことを注意しておくとよいでしょう。

①まず,車両の中で自分がいた位置,身体の状況,周りの人や被害を訴えている相手との位置関係をよく記憶しておくこと。

②相手方や駅員とのやり取りをスマートフォンなどで録音しておくこと。

③現場から逃げないこと。この点は異論があるかと思いますが,逃げようとしても周囲の客が被害者に協力して取り押さえられてしまう危険が大きいと思われます。 その場合,逃げたこと自体が不利な証拠になるおそれがあります。

④相手方に名刺を渡し,身元をはっきりさせた上で,仕事等があるのでもう行くが,言い分があれば連絡を受ければきちんと対応すると告げること。 逮捕されるのは逃亡や罪証隠滅のおそれがある場合なので,逃亡しないということを明白にすることで現行犯逮捕される危険を減少させることができる可能性があります。

なるべく早い段階で弁護士をよぶこと

逮捕されてしまった場合には,弁護士会から派遣される当番弁護士等を呼ぶなどして早めに対応した方がよいのはもちろんのことです。

逮捕される前の段階でも,弁護士を関与させることで逮捕を控えるなど,捜査機関が手続を慎重に進めようとする可能性があります。

既に付き合いのある弁護士がいなくとも,スマートフォンなどで弁護士事務所のホームページを検索して連絡をし,状況を説明して私選弁護人になってもらうという手もあります。

犯罪の嫌疑を掛けられ気も動転してしまうでしょうが,この種のことにおいては初動が重要ですから,躊躇せずに行動を起こしましょう。

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