Q5-10:心神喪失だとなぜ無罪になるの?

A:
これはそもそも刑法とは何のためにあるかという目的に関わる問題です。
刑法の目的は何かについても様々な考えがあるのですが,犯罪行為を行った場合に科せられる刑罰を事前に告知し,それにもかかわらず規範に反抗して犯罪を行った者を処罰することによって
①行為者に対する非難を加えること
②処罰することによって行為者自身を覚醒させ,二度と犯罪を犯さないように教え導くこと
③犯罪に対する処罰を行うことによって市民一般の中に規範意識を徹底させ,世間一般の犯罪を減らすこと
等がその目的であると考えられています。
この点,物事の是非善悪を判断したり自分の判断に従って行動を制御する能力をが持たない者に対しては
①その者に対して重い非難を加えることはできない。
②規範に従って行動する能力を持たない者を処罰してもその者を覚醒させることはできないから,結局犯罪の再発防止に役立たない。
③多くの犯罪は責任能力がある者によって行われるから,市民一般に対して規範意識を徹底させるためには通常の犯罪を処罰することで十分であり,責任能力のない者の行った犯罪まで処罰する必要はない。
ということになるので,心神喪失者を処罰することは刑法の目的にそぐわないことになります。
そこで,心神喪失者の行為は責任無能力とされ,犯罪が成立しないことと定められているのです。

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